「名探偵コナン 純黒の悪夢」感想
2016年4月16日に公開された静野孔文監督の「劇場版名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)」
感想を一言で言うと・・・作りが洋画アクション!!
予告編です。
私はコナンと同い年だったころから今に至るまでずっとコナンを見てきていて、劇場版は毎年欠かさず映画館で見ています。そんくらい思い入れがあるので20周年ということで今回はすごく期待していて、公開初日に見に行ってきました。
とここまで書いて思い出したけど、紺碧とサッカーは映画館ではみていなかった。。笑
以下、感想を書いていきます。内容に触れています。
【「犯人」がいない!もはや推理アニメじゃない】
冒頭にも書きましたが、静野監督は相当洋画アクション映画好きなんじゃないかと思います。これまで名探偵コナンは計6作担当していて、なかには残念ながら迷作と言われている作品もありますが、共通しているのは、とてもダイナミックな絵を見せるというところでしょう。前から人外であった劇場版でのコナンがさらに人間やめたのもこの人になってからな気がするし。
特に今作は、前作までは辛うじて残っていた「(殺人)事件→推理によって犯人が特定される→クライマックス」というミステリーとしての流れを完全に切り捨てて、「黒の組織」「公安」「コナンサイド」という三者三様のせめぎ合いをメインに描いています。
派手なカーチェイスやどこかでみたことあるような銃弾の雨あられなどのアクションシーンは、すごく力が入っていて細かくカットを割りながら長い尺をとって見せていますし、黒の組織の潜入者たちが正体がばれそうになり始末されそうになる裏で、必死に工作をするコナンたち、という構図はミステリーというよりスパイ映画やアクション映画を思わせるような展開でした。冒頭の盛り上がり、中盤の緊張感、この上なく派手なクライマックス、と劇中に盛り上がる箇所がうまく配置されており完成度が高い印象を受けました。
今までの劇場版と最大に異なるのは、今回の映画ではいわゆる犯人が出てこないところだと思います。映画限定キャラを登場させ、その中に犯人がいるという展開ではなく、オリジナルキャラは限りなく少なくし、その分、よく知られている既存キャラのせめぎ合いに重点を置いています。コナンのセリフの中で、意図的に「俺の推理によれば〜」というセリフが挿入されていますが、推理要素はとても薄いです。ミステリー性に関しては物足りなさを感じる人がいるかもしれません。
ですが、その分劇場版にありがちな、事件とクライマックスの若干の乖離や、いつもは鬼のように強い蘭が弱らされ新一に助けを求めるという展開がなかったので、モヤっとすることなく楽しめました。
また、コナンの映画の特徴として、毎回フォーカスしているキャラクター群がすこしずつずらしてあって(怪盗キッド、服部平次、黒の組織・・・)、それぞれのキャラクターを活かした構成となっています。ちょうど原作でもいろいろな新参キャラクターの謎が明かされつつあるタイミングだったので、ドンピシャのタイミングだと思います。
【謎の女性キュラソ:色というテーマ】
今回の物語の中心オッドアイで身体能力マックスの女性キュラソは、組織No2のラムの手下だということがわかりましたが、彼女について多く語られることはなく、少ないセリフやシーンで見せています。どうやら暗い過去の持ち主のようで、身体能力だけでなく記憶力も抜群であることがわかります。そして、髪の色や目、脳など彼女には「色」にまつわる様々な特徴があり、すごく色を意識して作られたキャラクターです。その「色」は彼女の特殊な能力にも関係し、劇中の推理の部分の焦点として扱われてきます。ですが、一番重要な「色」のファクターはそこではなく、彼女が何色にも染まる、という部分でした。キュラソに関して「色」という一貫したテーマがあることが、今回の映画がすごく面白いなと思った部分の一つでもあります。
冒頭で言ったように、今回の映画は洋画アクションを意識したようなストーリー、構成です。ただ、あまりにもアクションに偏ってしまうと、あまりにコナン色が薄くなってしまうので、今回のメインとなる謎の女性キュラソと少年探偵団の絡みを丁寧に見せ、最後は何色になるの?というラストの展開に持って行ったことで、話のメインをコナンたちに戻しています。
遊園地のシーン、結構長いと思ったんですが、そういう意図があったのかなと思います。劇場版にしては本当に珍しく、やや悲しい形でエンディングを迎えます。
いろんな新しい試みがあって新鮮でしたし、20周年にふさわしい完成度につながったと思います!多分もう1回見に行くと思います。
【毎年恒例のやつ】
小学生のアフレコはまあいいとして(笑)、話題先行のために俳優を声優に起用するのはやっぱり反対です。今回重要なキャラクターである謎の女性キュラソは、特異体質で記憶喪失となってしまうキャラで、セリフは決して多くなく、ゲスト声優の天海祐希さんも下手ではなかったと思うのですが、間の取り方は表現のしかたは、やはり一発でゲストだとわかってしまうほど差があると思います。重要な場面で、そこで違和感があるとそれだけで映画としてのクオリティが下がってしまうのはみんな知っていることだし。ちょっとした脇役(今回だったらあの公安役とかスパイ役とか)に起用するくらいが丁度いいと思うんですけどね。
あと、阿笠博士のクイズの扱いがどんどん低くなってきて、最近はどんなクイズを出したのか思い出せない。
毎年とても注目されるOPですが、今回はやたらギターがきいているなとおもったら、B'zの松本さんが演奏されていたんですね。今回は主題歌もB'zだったので、通算5回目?かな? B’zも大好きなので今後の定期的にやってほしいですね。
【なんとなく思ったこと】
突っ込みどころはあるけど、現実には起こり得ないことを描くのがアニメの世界の特権であるから、あまりツッコんでもしょうがないと思います。ただ。。黒の組織、スパイに潜入されまくっているし、決して表には出てこない秘密組織から衆人環視で街中でドンパチやってしまう組織になっているけど大丈夫か??とだけ。。笑
来年は平次がメインで出てきそうですね。