Memorandum

主に観た映画(新作、旧作)の備忘録。目指せ1000

「マイインターン」感想

洋画が日本に配給されるとき、邦題がつくことが結構ありますが、その改変必要かな?って思うこと誰でもあると思います。。

 
はい。2015年公開、ナンシー・マイヤーズ監督のマイインターンです。原題はThe Intern。
プラダを着た悪魔の続編とか言われてました。主演はアン・ハサウェイと、ロバート・デニーロです。

感想…ほのぼの。

華やかな雰囲気は出ていますが、映画としては意外と地味というか落ち着いています。
ずっと安心して見ていられるので、穏やかな気分になれる良い映画だと思います。

 
予告編です。日本語版と英語版での違いが興味深かったので、あえて両方入れました。
 
 
 
 
以下、感想を述べていきます。内容に触れています。
 

 

 
【本編の感想に入る前に】
さきほどの予告編の違いを見ていただけたでしょうか。
使っている映像に大きな差はないのですが、この予告でどういう趣旨の映画だと見せたいのか、はっきりとそれぞれの国の違いがわかります。
 
米国版では、「70を超えた男がシニアインターンで入った会社で、今までとは違う人生が待ってると示唆しているのに対し、日本版では、甘い感じのテロップが挿入され、「働く女性への応援歌」的な予告編の仕上がりになっています。また、本来無関係のプラダを着た悪魔がやたら強調されています。
 
こういう売り出し方って個人的には気に食わないです。今回も思い切り女性受けするものとして狙いすぎですし、今の事情とか過去の売れた映画(しかも無関係!)に乗っかりすぎです。面白いと思う層が他にもいるはずなのに、それを考えずに映画そのものをきちんと売り出していない感じがして辟易としてしまいます。働く女性への応援歌、とか疲れたあなたへの癒し〜とかは全然方向性が違います。十分男性がみても面白い映画です。
タイトルについても、原題はThe Intern なのに、日本語ではマイインターンになっているのも、主役2人の関係性をこじつけているようで不要な改変だと思いました。
 
くどくどと文句を言ってしまいましたが、作品自体は面白いと思います。
 
【人物の描かれ方】
この物語は、シニアインターンのベン(デニーロ)と、社長のジュエルズ(アンハサウェイ)を中心としています。本作は、人物の描写がとても丁寧で、周囲の人の関係からもその人がどんな人物かがわかるので、行動に深みが出ます。
ベンは70歳ですが、妻をなくしてからも、新しくインターンとして採用試験を受ける行動力もありますし、服装や持ち物はよく手入れされてそうでおしゃれできちっとしています。穏やかで発言も的確で、周囲からの信頼も獲得していきます。年下に威張りもこびたりもせず、理想の人物として描かれています。自分も含め、多くの人が、かっこいい!こういうおじいさんになりたい!と思わせる人物像です。
70歳のおじいさんを主役にした映画はそう多くないし、他の映画を見渡してみても主役級の老人役としては見事なキャラの立ちっぷりだと思います。
 
一方で、ジュエルスも、一人で事業を立ち上げ、夫は仕事をやめて主夫として働いてくれ、可愛い娘がいる、と理想の女性として描かれているようで、実際はそうではないです。いわゆるキャリアウーマンが良くも悪くもどういうイメージで見られがちなのか、というような視点で作られたような人物です。あえてそういう人物像に設定したのでしょう。
バリバリ働いててカッコいいというよりは、忙しすぎて仕事ぶりに余裕がないですし、母親とはうまくいっていないし、夫は承認欲求が満たされず浮気してしまいます。保育園の周りの母親は、どこか偏見を含んだ視線で彼女を見つめます。

ジュエルズのキャラクターによって、そういう目で働く女性が見られているというような現実を見せています。さらに言えば、 それをどう顧みて、直してほしいのかというメッセージになっているのではないかと思いました。

ベンとの交流によって徐々にその素の部分や思いが明らかになっていきますが、だからといって、一方的にジュエルズを支えるベンという構図になってるわけでもなく、ベンの思いや行動もちゃんと描かれていて、バランスが取れているなと思います。


「働く女性」的な視点で共感するでいえば、どちらかというと社長秘書のベッキー
がリアルですね。 学歴を積み上げてここまで頑張ってきたのに、名前も覚えられているか微妙とか、やる気なくしてしまいそうです。
 
 
【会社事情】
ベンチャー系というか、最新のトレンドを取り入れた会社事情が描かれていて興味深かったです。(比較的)若い人が起業し、自分の力でやっていきたい!みたいな夢というか、昨今の流れを取り入れているのかなと思います。
MacBookを颯爽と開き、SNSを積極的に取り入れ、服装は私服で社内でもチャリで移動し、何かおめでたいことがあればみんなで祝ったりします。ベンの前いた印刷会社とはだいぶ違う様子です。(私の会社とも随分違います笑
トップのジュエルズも、業績というよりは、自分でうまく仕切れてない、もう能力的に限界と思われてのCEO交代劇ですから、ただやりがいがあるだけでなく、なかなか厳しい面もあることを見せてくれてよかったなと思いました。

 
【雑記】
プラダを着た悪魔とは一切関係のないものとして見たほうが楽しめますし、双方の映画の価値を下げないですむと思います。

ストーリーは笑いもありほのぼのしていて安心して見られるのですが、ちょっと都合が良いかなと思う部分もあります。
トラブルの原因にもなった母親との確執も、進展があると思いきや放置されていますし、浮気をすぐ謝ったり、CEOを新しく立てるのを断ったりとかは、ストーリー上では良い方向に進んだと見えても、結局根本的な解決にはつながってないからまた同じことになってしまうんじゃ…とか思います。。
まぁその時はまたデニーロおじさんがなんとかしてくれるのでしょう。笑