「12モンキーズ」感想
「12モンキーズ」。
結構昔の映画ですね。
タイムトラベルを題材にした映画で、ブルースウィリスとブラッドピットが出演しています。
公開は1995年で、監督はテリー・ギリアムです。
感想を一言・・・もう一回見返したくなる。
すごく良くできているタイムトラベル物だと思います。
謎多き作品ですが、緻密でとても面白いのでオススメです。
予告編です。
以下感想を述べています。例によって内容に触れていますのでご注意。
【複雑に組み立てられたストーリー】
ウィルスによる感染病で人類の99%が死んだ未来、人類は地下に潜伏していました。そのような状況を打開するため、犯罪者として服役中の主人公ジェームズ・コール(ブルースウィリス)が、特赦を条件に、科学者たちから過去に戻り純粋なウィルスのありかを突き止める任務を課せられました。過去に戻るには、タイムトラベラーを使うのですが、そこまで正確ではなく、意図した年代と異なるところに飛ばされてしまったりします。過去では、精神病患者のジェフリーゴインズ(ブラピ)や、精神科医のキャサリンライリーと出会います。
概要としてはこんな感じです。
あまり正確ではないタイムトラベラーのおかげで、複数の年代にタイムトラベルすることになり、結果、未来と過去を行ったり来たり、または頭の中の回想になったりして、場面の切り替えが頻繁に起こります。
また、いろんなことに対して説明がなされないまま話が進みます。例えば、映画の冒頭では、任務の内容、過去に戻るということが説明されるシーンがありません(後に出てきます)。
そのため、印象としては少し難しい話だと思います。
ストーリーもかなり大胆です。ブラッドピット演じる精神病患者のジェフリーは、かなりサイコな感じで、劇中での存在感も際立っています。明らかにこいつが何かやばいことをやらかすぞ〜という雰囲気を醸し出しています。実は細菌をばらまいた真犯人は別でした。ブラピをかませ役にするとはこれまた大胆ですね。。
【タイムトラベルの話:結局どうなるの?】
タイムトラベルを題材にした映画は数多くありますが、時系列の「数」によってその趣旨は異なると言えると思います。時系列が複数あるのは、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「バタフライエフェクト」のように、過去に戻った結果、未来が全く変わってしまうようなものです(パラレルワールドとか言ったりしますね)。それに対し、12モンキーズは、すべてが一つの時系列に沿っています。そのため、最初に過去に戻る前に、過去に戻った時のことがすでに起こっている(?)という状態になります。
そこがこの映画のポイントであり面白いところだと思います。つまりいくら過去に戻っても、未来の時点では、過去に戻ったことによってできた「現在」があるので、「未来」は変わらない(変えられない)ということだと解釈しました。
それゆえ任務の内容は、コールのセリフにもあるように、「純粋な細菌を持ち帰り、科学者たちが研究して人類が再び地上に戻れるようにすること」と設定されており、決して「細菌の大規模感染を阻止すること」ではないんです。細菌の感染が止められたら、未来は大きく変わってしまいますけど、未来が大きく変わってしまうことは、「ありえない」ことですしね。そもそも細菌の感染が防がれる未来はありえないのです。
ラストとしては、あの科学者がどうにかして細菌を持ち帰り(握手したことによって?)未来の未来、つまり2035年以降は救われる(人類は99%死ぬことにはかわりない)ことになると思います。「保険業」の意味は、きっちりとその未来が起こることを保証するということでしょうか。
未来に戻らず、美しい過去に残って、海や太陽の下でキャサリンと暮らしたかったコールにとってはかわいそうな状況ですね。
タイムトラベルに関してもう一つポイントがあります。映画のタイトルにもなっている「12モンキーズ」というキーワードは、科学者たちが過去の電話を解析して得た情報なのですが、 そもそもその電話をすることになったきっかけが、未来からきたコールが持っていた情報ですから、ループしているんですね。卵が先か鶏が先かというような話です。ループしているとわかるまでのストーリーの組み立て、わかったときのはっとさせられる感じがすごく面白かったです。
【どの世界が本当か?】
もう一つ面白いところは、どの世界が正しいのかわからなくなることです。これについても、劇中にこのテーマに目を向けさせる要素がいくつかあります。
ジェフリーやキャサリンのセリフで、大人数が正常、少人数が異常であったり、皆の信じることが正常なのか、というものがあります。
ジェームズは、自分の一言がきっかけで世界を破滅させた可能性を知ったショックで、未来の世界は空想でありそんな自分は異常だと思い込む(精神科医的には正常な状態)ようにします。。精神病院にいた自称宇宙人の話が伏線になっていますね。
観客もどの世界が本物なのか?と考え始めてしまいます。
過去にタイムトラベルしたときの銃弾が残っていたこと、井戸の少年がいたずらであると知っていたこと、そして決定的には、キャサリンが残した留守番電話の内容から、最後に全ての世界が真実であることがわかりました。
【意味深】
いろんなところに意味深な台詞や場面を散りばめて、ストーリーにリンクさせています。
例えば、病院での動物実験に関するニュース、タイムトラベルのアニメ、街中の動物の像やポスターたちや映画などがその時々の状況とリンクしています。ヒッチコックの映画「めまい」は、悲恋の話でしたし、「鳥」では、攻撃されることを暗に示しています。また、ヒッチコック作品は常に金髪の美女が出てくるで有名です。そうした周囲のちょっとした仕掛けが全て意味ありげで、伏線にもなってたりして面白いです。
【やっぱりわからないことがいくつか】
タイムマシン、過去に送り出すのにはえらい苦労しているのに、未来に戻すのはめっちゃ簡単そうですよね。すごく心身に負担がかかりそうですが、あの科学者のおばさんもやったのでしょうか?時間が経って改良されたんですかね。
また、中盤くらいの空港の回想シーン、 ジェフリー(ブラピ)の顔でした。。明らかにミスリードですが、少年コールの記憶違いということですかね?
最後にコールが過去に戻ってくる前に、テストを受けさせられていたようですが、なんの任務だったのでしょうか?その前に一旦は終わり〜みたいな感じだったのに。
そして謎の男の声は結局明かされませんでした。